top of page

古い記憶を掘り起こして画面に描き留めている。

記憶は時間をかけて、自分の中で少しずつ形を変え、ひさしぶりに実物の姿を見る機会があると記憶の像が実際に見ていた元々の姿形とは全く違っていたことに気がつくということがよくある。けれど記憶の中で見ていたその像は視覚的な情報がそのまま保存されていたものではなく、仕草や、匂いや、手触りや、湿度など、形にならない情報が加わって私たちの脳内に立ち上げられた、もう一つの本質的な像なのではないかと考えている。それらの像は私たちが普段、目の前にあるものをどうやって見ているのかという謎に導いてくれるように感じている。

bottom of page